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前十字靭帯断裂と半月板損傷のリハビリについて

イギリスの🇬🇧British Journal of Sports Medicine の論文から

「Rehabilitation after anterior cruciate ligament and meniscal injuries: a best-evidence synthesis of systematic reviews for the OPTIKNEE consensus」

オープンアクセスなので、英語に興味がある方は読んでみてください。

「前十字靭帯断裂と半月板損傷のリハビリ」について、今年、出た論文があるので、紹介したいと思います。

私も、半月板や前十字靭帯の研究に関わらせてもらって10年以上経ち、気になるトピックです。

コチラは私が関わった論文になります。

2011 理学療法 半月板損傷に対する的確・迅速な臨床推論のポイント 共著論文

2011 日本臨床スポーツ医学会 膝半月板単独損傷における損傷部位の調査 共著論文
2021 膝半月板損傷に対する理学療法診断の進め方 理学療法37巻12号 

他にも、前十字靭帯教室や学会など、日本にいたときは膝グループで研究をさせてもらっていたので、気になります。

(動機は不純で学会で海外や北海道や沖縄に行くのが目的の一部だったことはさておいて)

最近、全然訳してないじゃないか!と思ってくれる方もいらっしゃると思うので、今回は論文です。

(言い訳ですが、翻訳の仕事で週2-3本は読んでいるんですが、なかなかトピックが難しくて)

British Journal of Sports Medicneは自分の中でも大好きな論文の1つです。

(お前、論文好きって、マニアかよと思われますが、、、

極力勉強するよりワンピース見て、サッカーのスーパープレイ見ていた方がもちろん幸せです

最近は、アーセナルの冨安の一対一の守備のステップを見て、興奮しています

今回の論文はいろいろなトレーニングが世の中にあるけれど、『どんなトレーニングがいいのか』を調べています。

たくさんの論文を比べて統計を書ける”システマチックレビュー”という形の論文なので、

それを踏まえて、今のところいいと言われてなくても、全てが悪いというわけではないので気をつけてください。

前十字靭帯損傷はスポーツに多く、復帰までに半年以上かかる大きな怪我であり、プロ選手は生活や選手生命(契約等)に関わる怪我である。

•半月板損傷も多く、切除が昔は多かったが、現在は可能であれば縫合して行って極力膝機能を温存

•10年後はACL断裂の半分の選手が手術をしてもしなくても、変形性関節症の症状が出てしまう。

こんなことが今はわかってきています。

そしてトレーニングについてですが、、

1.Neuromuscular electrical stimulation (電気刺激での筋の活性化)

早期から行うことで、4-12週での大腿四頭筋の筋力向上が見られる。

2. Open Vs Closed のトレーニングの比較

昔はオープンの筋トレ、例えば、レッグエクステンションのような動きのエクササイズは、前十字靭帯にこの原理で負担がかかるとされていました。しかしながら、最近は実際に負担はかかるので、術後4週間は解剖学的にやはり良くないですが、

その後は行っても、”靭帯が緩くなったり再断裂のリスクには変化がない”ということでした。

3. 装具 

装具はつけなくても緩みや昨日に影響を与えないという報告です。

4. アイシング 

術後48時間のアイシングは、痛みを約14%軽減してくれるということでが、それ以外は膝の緩み、腫脹の継続、スポーツの復帰等には関係がないとのこと

5. サプリメント

 靭帯に効くとされるサプリメント、ビタミンやタンパク質のサプリメントは、靭帯強度等に変化はない

6.血流を止めた低酸素エクササイズ 

術後の2-16週では負荷をかけてできないため、血流制限をして、低負荷で行ったエクササイズで、より大腿四頭筋の筋力の向上が見られた。

(やり方に注意が必要)

7.神経系のバランスエクササイズ 

クオリティの低い論文ではあるが週に2-3回、1-9ヶ月行うことは大腿四頭筋とハムストリングスの筋力向上、機能が優位に高いと報告

8. CPM (持続的他動運動)

可動域の機械は術後に使用しても可動域の変化なし

9. 遠隔リハビリ

ホームエクササイズプログラムで、遠隔地等で通えない場合も適切な時に、適切な筋力トレーニングプログラムを行うことで、Face to face と同様の効果がある

最後に前十字靭帯損傷はスポーツ選手にはとても大きな怪我で大変ですが、しっかりとしたトレーニングで術後もプロレベルのスポーツに復帰することは可能です。

ただ、時間もかかり経済的、精神的にも苦労があるので医療者とチーム、選手や家族が協力してサポートしていくことが大切だと思います。

ここ3ヶ月で残念ながら4名の前十字靭帯損傷の患者さんを見させてもらいました。

受傷後翌日が、2名、受傷後1週間が1名、受傷後2週間が1名、

膝の徒手検査で

[あっ、ゆるい]

と思っても、なかなか説明が難しく、

ゆるいと思っても切れていないケース、緩くなくても切れているケースとさまざまなのですが、

今回は皆さん切れているなあって、、

(この写真は論文のための撮影で患者さんではありません)

明らかに反対と違って、、

でも

大きな怪我だし、半月板や軟骨のチェックや手術も考えるとMRIを撮らないとやはり難しいので、

MRIをオーダーして、ドクターに手紙を書いて、という感じで

その後はドクターと選手とも相談しながらという感じで治療を進めていきます。

現場に行くようになって、

フィジオになって17年目

2006年からやらせてもらって、

やっとここ5-6年くらいで検査等に自信がついてきた気がします。

やっぱり日々勉強していかないと、いろいろな技術をトレーニングしていかないといけないと感じるこの頃です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。