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産前産後の腰痛・尿もれのエクササイズ

今回は論文を訳して行きたいと思います。

産前産後、更年期の女性で多い問題として、腰痛・尿もれが多く言われています。

なかなかデリケートな内容で対処が遅れることが多く(特に日本では)、そのエクササイズについて、今回は論文をご紹介したいと思います。

なんでお前がそんなことを💦と思われる方もいると思いますが、

私のクリニックでは

スポーツ、筋骨格系(整形外科系)、そして産前産後の腰痛や骨盤痛等、乳腺炎の患者さんんもいらっしゃってもらっています。

それも、大学院でキャンベラのCalvary病院というところでインターンをしていた時に、私のスーパーバイザーがWomens Healthの専門で、そこでは外来で産前産後のエクササイズグループや、尿もれ、乳腺炎のマネジメントと整形外科の疾患を扱っていて、私も研修させてもらっておりました。

超音波を使って骨盤底筋群のエクササイズの画面を見ながら、患者さんに『ここを収縮して、、、』というのを指導させてもらったりしていました。

そして、最近日本の産婦人科医の先生方とオンラインコミュニティーで腰痛等の妊娠期トラブルの話をさせていただく機会を毎月いただいており、論文を読んでいるので、2つの文献を要約して訳していきたいと思います。

英語が得意な方はオープンアクセスなのでコチラを読んでみてください。

オーストラリアのシドニー大学からの論文です。

Evaluation of the effect of an antenatal pelvic floor muscle exercise programme on female sexual function during pregnancy and the first 3 months following birth: study protocol for a pragmatic randomised controlled trial
High-Low Impact Exercise Program Including Pelvic Floor Muscle Exercises Improves Pelvic Floor Muscle Function in Healthy Pregnant Women – A Randomized Control Trial

妊娠中からの骨盤底筋群のエクササイズが尿もれ等の機能改善に効果的である”というような文献です。

バックグラウンド

まず妊娠前後、特に妊娠中は赤ちゃんがお腹の中で大きくなり、その重さで骨盤底筋群の収縮が難しくなり、

腰痛は文献によりますが、30% から78%の妊婦さんが経験し(Emília 2015)、

妊婦の尿もれは、およそ54.3%の方に起こると言われております。(Sangsawang 2013)

産後も帝王切開、通常分娩ともに腹部の延ばされた靭帯、筋肉を収縮するのが難しく、

そして、更年期でもホルモンの関係、そして、骨盤底筋のコアマッスルと言われるような深部の筋肉の収縮の運動能力が落ちていき、この現象が起こると言われています。(Flávia 2018)

そこで”骨盤底筋(Pelvic Floor Muscle)のエクササイズがとても需要だ”と言われています。

しかしながら、骨盤底筋群のエクササイズを、というように言われない、適切なフィジオ等の医療者に会えていない人が46%にもなると、アメリカの論文で言われています。(McLennan 2007)

最近、日本の産婦人科医師と話すと、ほとんどの人がフィジオに会っていない、もしくは日本のフィジオや助産師さんがそういった教育を受けていない、とのことでした。

しかしながらトレーニングが難しく、約30%の人がしっかりできていないという報告もあります。(Zanetti 2007)

エクササイズ

骨盤底筋はコアマッスルの一つで、インナーマッスルの代表的な筋肉ですが、どうやって働いているのかがわからないということが難しいのです。

腹筋バキバキのシックスパック(腹直筋や腹斜筋)はトレーニングしながらも目に見えてわかりやすいですが、見えない筋肉を使うのがとても難しいということになります。

ですので、フィジオでは

大きな大学病院や機材のある場所では

1.超音波を使って筋肉を画面に映しながら、患者さんも一緒に目で見ながら行う

だんだん増えては来ていますが、機会が高いので通常クリニックでは難しいこともあります。

2.筋電図を使用

機材は4-5万円前後で私のクリニックにもありますが、実際に使用するのは研究機関や専門の場所が多いです。

3.カフ(血圧計のようなもの)を使って圧を計測しながら行う

機材も2万円前後で私のクリニックにもあります

4.口頭指示

自宅でのホームエクササイズ

(1もしくは2-3で確認してからの方が望ましいです。文献でも超音波を利用した群と口頭指示とで比較した場合は、超音波の方がうまくエクササイズを習得できていたという報告もあります。)

口頭指示1:その姿勢のまま5秒程度、肛門、尿道、膣全体を締め、陰部全体をじわじわっと引き上げる感じで締めます。 

口頭指示2:骨盤底筋を膣からお水やゼリーなどを吸い上げるように引き上げて縮める

イメージが湧けばどちらでも、、、というかなんでもいいと思います。

エクササイズプロトコール

骨盤底筋の収縮(上記口頭指示を使う)を事前に、超音波やカフでエクササイズができているか確認しておきましょう。

例として、22週以内に初診できた妊婦さんでの実験です。(シドニー大学)

1.10秒収縮 10秒休むを8回(保持するイメージ)

2.1-2秒の早い収縮(瞬発力のようなイメージ)を5回

このゆっくりな収縮8セット早い収縮5セットを、合計13回を毎日、出産まで行う。

産後3ヶ月後の評価

エクササイズをやった群はやっていない群と比べて

・出産時の会陰部の切開(断裂)の減少

・尿もれのスコア(Urogenital Distress Inventory (UDI-6) 

・性機能

のスコアが高かったという報告でした。

もちろんフィジオが全てを改善できるわけではありませんが、早期に介入することで予防も含めて機能改善が可能です。

オーストラリアでは(私の妻の出産の時も、インターンの時も)妊娠8-10週くらいでフィジオに会い、エクササイズの確認、また産後、翌日にフィジオが部屋に来て説明をしてくれていました。

もちろん、産後1日目でいきなりエクササイズは難しいと思うので、産前から始めるのがいいと思います。

私も妻の横で一緒にいきんでただけで全身筋肉痛になり、サッカーで90分走るより辛かったですし(笑)、改めて女性の凄さを実感しましたので。

また、最近大学の授業の準備や、学会の準備で論文を読んだり調べたりする機会が多いので、訳していきたいと思います。

というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございます。