オーストラリアはワクチンが終わると、こんな感じで証書が発行されます。
2021年8月末現在、オーストラリアも各州で状況が違いますが
シドニー、メルボルン、キャンベラと主要都市がロックダウン中でなかなか大変な状況です。
私たちのブリスベンは今のところロックダウンが解除されましたが
室内でのマスク着用義務があったり、まだまだ予断を許しません。
では本題で、
British journal of sports medicine (イギリススポーツメディシン)🇬🇧
からの最新の膝蓋腱炎(Patella tendinopathy) の論文です。
まず、膝蓋腱炎はジャンプやダッシュなどのスポーツ動作によって膝を曲げ伸ばしする動きを繰り返すことで、膝蓋腱に過度なストレスがかかり、微小な損傷が腱線維に生じ、炎症症状が引き起こされ、(tendinitis) 、その後、腱の変性が起こり脆弱化されてしまう病態です。
治療法に関してはさまざまですが、基本的には保存療法でフィジオ(理学療法士等)が見ることが多いです。
基本的な治療コンセプトは、、、
腱は’ドM’❤️
これを覚えてもらえたら治療の雰囲気は半分以上理解してもらえだと言っても過言ではありません。笑笑
腱は、筋肉に比べて血流が圧倒的に少ないとされています。
その分,治るのに時間がかかりますが、(論文でも3ヶ月から4年以上かがるというものもあります) その血流を良くするために治療方法がいくつかあります。
- Tendon loading (腱に負荷をかけていく)
- 遠心性エクササイズ
- 超音波治療
- 注射💉
- 衝撃波
- 足底板 等々
保存療法が95-98%と言われているので手術療法は2-5%程度です。
今回は保存療法を中心にいきます。
今回の論文
‘Effectiveness of progressive tendon-loading exercise therapy in patients with patellar tendinopathy: a randomised clinical trial’
Stephan J Breda 2021
‘膝蓋腱炎の患者さんに段階的に腱への負荷を上げていく効果的なエクササイズの検討’
対象:76人の膝蓋腱炎患者(臨床症状と超音波検査で診断済み)
平均罹患期間:2年
(ほとんどの患者さん(83%)が治療を受けたが治らなかった症例)
グループ:ランダムに38名づつ
1.段階的に負荷を上げる腱負荷エクササイズ
2.遠心性収縮
期間: 24週間
結果:段階的腱負荷エクササイズグループの方が良い。
1.機能(Victorian Institute of Sports Assessment for patellar tendons (VISA-P) という質問表で28 vs 18 points,)
2.スポーツ復帰率(43% vs 27%)
は優位に高いが、
患者さん満足度(83% vs 81%)は差がなかった。
ではどのようなエクササイズなのか、、
上記論文より
段階的腱負荷エクササイズ(写真)
下記の4ステージ
- 等尺性(isometric): レッグプレス(60度屈曲位、45秒間保持を5セット、最大70%の負荷量
- 等張性(isotonic): レッグプレスかエクステンション 15回4セット 徐々に負荷を上げて6回4セットまで上げる
- プライオメトリック:ジャンプスクワット、ボックスジャンプ、ジグザグ走両足で10回3セット、徐々に増やして、10回6セットまでを片足に。
- スポーツ特有のエクササイズ(バスケ🏀やサッカー⚽️)2-3日に一回で、そのほかはステージ1の等尺性エクササイズ。
エクササイズ中は痛みが10段階中、3以下(VAS)
最短のスポーツ復帰は各ステージ1週ごとで、4週間、通常3ヶ月以降
遠心性エクササイズプロトコール
最初の12週
- 25度の傾斜ボードの上でのスクワット、両足で上げて片足で曲げていく(遠心性部分は片足)痛みは10段階5以下
- 同様の25度の傾斜でスクワット+重り、痛みは10段階3以下
スポーツ復帰は最短で4週間
ここ10年くらいはエキセントリックが良いとされていましたが、段階的に腱への負荷を上げていくエクササイズの方が痛み、パフォーマンスが良いことがこの論文からわかりました。
ただ、一つ注意しないといけないのは患者さんの主観的には(感覚的)には両方ともそこまで変わりがないということです。
ですので、自分なら腱負荷を行いますが、選手の反応を見てもう一方の遠心性のエクササイズも間違いではないですね。ただ、Best ではないということだけ理解することが大事だと思います。

隔離中に配達サービスをしていただいた飲兵衛さんの焼き肉です。
子供たちは大好きでした🥩

