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日本の理学療法学生(大学生)の研修受け入れ

オーストラリアのフィジオのリアル

先日、日本の大学より14名の学生さんがブリスベンに研修に来てくれました。

今回、私は2日間にわたり講義と現場見学をオーガナイズ、通訳させていただきました。

Day 1:講義(Spring Hill)

1日目は、スプリングヒルにあるホテルにて講義を行いました。

テーマは主に以下の内容です:

• オーストラリアでフィジオセラピストになる方法

• 日本との医療システムの違い

• フィジオの役割と権限

到着したばかりで時差ボケや早朝フライトの影響もあり、少し眠そうな様子も見られましたが、

英語クイズでは多くの方が高得点を取り、景品を獲得されていました。

講義の中で、特に印象的だったのは学生さんたちの「驚き」です。

フィジオの権限の違い

オーストラリアではフィジオセラピストに以下のような役割があります:

• レントゲンやMRIのオーダー

• 診断に関わる判断

• 医療文書の作成

また、鍼等の追加資格を取得することでさらに専門性を高めることも可能です。

この「裁量の大きさ」は、日本との大きな違いの一つです。

公的医療とプライベートの違い

オーストラリアでは医療が大きく分かれています:

パブリック(公的):Medicareにより基本無料

プライベート(民間):自費または任意保険(ちなみにMoto Physio Carindale はプライベートです) 

費用の違いやアクセスの仕組みに、多くの学生が驚いていました。

医療の優先順位(トリアージ)

もう一つ印象的だったのが「優先順位の考え方」です。

例えば:

• 心筋梗塞 → 即対応

• 膝の靭帯損傷 → 数ヶ月〜1年以上待つ可能性

命に関わるかどうかで医療資源を配分するシステムは、

日本とは大きく異なるポイントです。

フィジオが救急で活躍

私自身、救急現場での経験についてもお話しました。

例えばスポーツ現場で:

• 足関節骨折の疑い → フィジオが初期評価

• 必要に応じてレントゲン依頼

• 転位なし → その場でブーツ処方

• 転位あり → 医師と連携し手術判断

このように、フィジオがファーストコンタクトになるケースも多く、

その役割の広さにも驚かれていました。

⑤鍼の体験

最初は自分自身の足や腕におこない、その後リクエストのため実際の生徒さんの肩こりにやらせてもらいました。

(ここは治療と同じですので効果とリスクの説明をしてコンセントを取ってから行いました) 

Day 2:現場見学

2日目は実際の臨床現場を見学していただきました。

● プライベートクリニック見学

Allsportsの施設にて:

• 外来リハビリの見学

• 実際の患者対応の流れ

英語でのコミュニケーションに苦戦しながらも、

翻訳アプリなどを使いながら積極的に関わる姿が印象的でした。

● 画像診断施設の見学

同施設内の画像センターでは:

• レントゲン

• 超音波

• CT

• MRI

さらに、画像診断レポート作成の流れも見学していただきました。

実際の機器を見ることで理解が深まったように感じます。

● NDIS(障害者支援制度)

また、NDIS(障害者支援制度)についても紹介しました。

障害の程度に応じて:

• 年間数百万円規模のサポートが受けられる

という仕組みで、日本との制度の違いに大きな関心が寄せられていました。

Day 2(後半):専門分野の広がりを体感

2日目の後半は、さらに多職種・専門分野の現場を見学しました。

● 足の専門クリニック(Padiatrist)

足の専門職であるポディアトリストのクリニックも見学しました。

ここでは:

• インソール(足底板)の作成

• 高齢者の巻き爪処置

• 足長差の調整(ヒールリフトなど)

• 小児(脳性麻痺)から高齢者までの装具作成

といった、非常に幅広い対応が行われています。

義足とは異なりますが、「歩く」「支える」という機能に特化した専門性の高さに、学生さんたちも強い関心を示していました。

● 小児フィジオとNDISの現場

同施設には小児専門のフィジオセラピストも在籍しており、

子どものリハビリテーションの現場も見学しました。

さらに、NDIS(障害者支援制度)に関わるオフィスにも訪問しました。

NDISでは:

• 個別のケアプラン作成

• 日常生活支援(例:シャワー介助など)

• 1日数時間単位でのサポート提供

など、日本でいうケアマネージャーのような役割を担うスタッフが、利用者一人ひとりに合わせた支援を行っています。

実際にスタッフの方々と交流することで、制度の仕組みだけでなく「現場のリアル」を感じてもらえたと思います。

● ハンドセラピー(専門職としての進化)

ハンドセラピーの現場も見学しました。

ハンドセラピーは:

• フィジオやOTが大学院などで専門教育を受けて行う分野

• 術後のリハビリや創部管理

• 骨折後の装具作成

などを担当します。

特に印象的だったのは、

プラスチック素材を温めて患者さんの手に合わせてその場で装具を作る「ハンドメイドのスプリント」です。

学生さんたちも、実際の患者さんの様子や疾患、治療の流れを見ることで、より具体的なイメージを持てたようでした。

オーストラリアのカフェ文化も体験

見学の合間には、施設下のカフェでコーヒータイム。

オーストラリアで定番の「フラットホワイト」をみんなで飲みました。

フラットホワイトとラテの違い

フラットホワイト:エスプレッソ+きめ細かいミルク(フォームが薄い、コーヒー感が強い)

ラテ:エスプレッソ+スチームミルク(フォームがやや厚め、ミルク感が強い)

オーストラリアでは、朝にお気に入りのカフェでコーヒーを買ってから仕事に行く文化が根付いています。

こうした日常の一コマも、良い経験になったのではないでしょうか。

● リカバリーセンターでの体験(TH7)

最後はリカバリーセンター「TH7」へ。

ここでは:

• 交代浴(ホット&コールド)

• サウナ

• 低酸素環境トレーニング

• コンプレッション機器(回復促進)

など、スポーツリカバリーに特化した設備を体験していただきました。

実際にコンプレッション機器も体験してもらい、

スポーツ現場でのリカバリーの重要性を肌で感じてもらえたと思います。

研修を終えて

今回の研修を通して、学生の皆さんからは

「とても勉強になった」

「視野が広がった」

という声を多くいただきました。

一方で、

• 物価の高さ

• 学費の高さ

• 為替の影響

といった現実的な課題にも触れる機会となりました。

それでも、将来的にオーストラリアで挑戦したいという学生さんもおり、

今回の経験が大きな刺激になったことを感じています。

まとめ

今回の研修を通して感じたことは、

「環境が違えば、フィジオの役割もここまで変わる」ということだったようです。

学生の皆さんにとって:

• 視野を広げるきっかけ

• 将来のキャリアを考えるヒント

になっていれば嬉しいです。

私自身も、改めてオーストラリアで働く意義を再確認する機会となりました。

最後に

まずは日本でしっかりと学び、資格を取得し、

それぞれのフィールドで経験を積んでほしいと思います。

そしていつか、またオーストラリアで一緒に働ける日が来ることを楽しみにしています。

今回の研修が、その第一歩になっていれば嬉しいです。

と偉そうに話してましたが、自分も2005年に研修に来たときはカジノにビーチ、カヤックにコアラとうとうの方が覚えていますし、まさか20年後にオーストラリアに移住してフィジオとして働くなんて1ミリも思っていなかったので人生って何があるかわかりませんね。