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久しぶりの怪我(大腿四頭筋打撲)

高圧酸素療法・交代浴・電気・超音波 for Quadriceps contusions

FQPL1第2節。相手は去年リーグ戦で2連勝したものの、グランドファイナルでロスタイムに失点し2-3で敗れたMagic FC。

個人的にかなりモチベーションが上がる試合でした。

しかもちょっと前にFootball Queenslandの公式HP用の写真を撮っていただきました。(プロのカメラマンが一人10ポーズくらい撮ってくれるんです)

真面目な顔、笑顔、腕を組んで、右向き、左向き、ゴールパフォーマンス等々。

(ゴールパフォーマンス)

芸能人になった気分です。笑

しかし、調子に乗っているとダメですね。

ゴールを決めることはないのにちょっとポーズ考えて撮っていただいたからですかね。


開始17秒、五分五分のボールに飛び込んだ瞬間、相手の膝が太ももに?
何が起こったのか分からないまま戻ろうとしたら、あれ?足が動かない
びっこを引いてる状態。

「どうせ打撲だからすぐに良くなるだろう」と思ったものの、プレーが止まる度にだんだん痙攣するような感覚が…

『やばい』

頭の中で葛藤します。

サッカー選手の頭では
「ただでさえディフェンスに怪我人が多いのに、途中からフォーメーション変えるには自分が頑張らないと…やりたい」

でも同時に、フィジオ(理学療法士)としての自分が冷静に警告してくる。
「筋肉の打撲、肉離れじゃないから経過はいいけど、無理をしたら腫れる。次の試合までに回復が間に合わなくなるから、早く交代を申し出た方がいい」

まさに、天使と悪魔が頭の中で戦っているような感じ(笑)

その後、裏にボールを出されるも、走る一歩目が遅れ、普段なら追いつくはずが間に合わず、足を出したら相手の方が速くてファウル。イエローカードをもらってしまいました。

ハーフタイムにテーピングをしてもらい、少し良くなったものの、
「このままだとチームに迷惑をかけるし、すでにイエローも出てるし…」と思い、65分過ぎに交代してもらいました😭

落ち着いてきたら歩くのもびっこ。
翌日は膝も曲がらない。
いつもなら試合翌日はリカバリーランと筋トレだけど、何もできないのがなおさら焦る😓

上半身だけトレーニングし、そこからは自己診断。
腫れてる、内出血も。
「打撲だから無理はできる?」

サッカー選手として
「打撲だろ。1日後にはある程度曲がるようになって、歩けるようになって、2日後には軽くジョグ、そして軽い練習くらいは…?」

フィジオとして
「いやいや、膝が曲がらないんだから1週間は休まないとでしょ。曲がるようになってから早歩きや自転車、それからジョグ、徐々に練習復帰。全治1〜2週間程度の怪我だよ」

またしても、自分の中で2つの人格が葛藤(笑)

幸いにも治療器具は手元にあるし、自分の診断にも自信がある。
超音波、電気、針…
ありとあらゆる治療を“職権乱用”で自分に施す(笑)

そういえば、来週は日本からの学生ツアーに合わせてリカバリーセンターとのミーティングがある。
交代浴に高気圧酸素療法…
エビデンスは低いかもしれないけど、今は藁(わら)にもすがる思いで、ミーティングの流れでやらせてもらう。

(このミーティングの後入ります笑)

(ちなみに写真は調子に乗ってThumb Upしているわけでなく、高圧で耳がキーンとなるのでそれが大丈夫かときかれて、それに答えています)


今回わかったこと

フィジオの言うことを聞けない、

悪い患者=葛山元基。
他の患者さんには「無理するな」と散々言ってるのに、自分が患者になると聞く耳を持たない。

悪いフィジオ=葛山元基。

どちらにしても、ダメな患者・ダメなフィジオでした。(笑)

でも、サッカー選手としてはキャリアも終盤。
できるなら無理してでもプレーしたいと思うこの頃。そして実際に無理してしまう。

でもちゃんと治すときは治さなきゃ、とフィジオとしての面も感じる。

どちらにせよ、まだまだ未熟なサッカー選手、そしてまだまだ未熟なフィジオであることを実感しました。


ちなみに、打撲に関するエビデンスとして以下の論文があります:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1867338/

この論文では、受傷後12〜24時間の膝の可動域に基づいて打撲傷の分類を行っています(分類法には多少の差異あり):

  • 軽度:可動域90度以上
  • 中等度:45〜90度
  • 重度:45度未満

機能障害の平均期間は、
軽度で13日、中等度で19日、重度で21日
とされています。

適切に管理されないと、筋炎性骨化症コンパートメント症候群といった合併症のリスクも。

私の場合、可動域は約50度、中等度に分類され、およそ19日の怪我。


そして高気圧酸素療法(HBOT)について。

人間での有効性はまだ研究段階ですが、2018年に聖マリアンナ医科大学で、微弱電流刺激+HBOTがマウスの骨格筋損傷の回復を促進するという研究が報告されています。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030675067

ただし、ヒトでの十分なエビデンスはまだ乏しく、今後の大規模研究が必要です。
フィジオとしては、患者さんに適用するにはしっかりと人間でのエビデンスがあるものを選びたいし、説明責任も果たすべきだと思っています。


…が、選手の立場としては。

ワールドカップでの “三笘の1ミリ” のゴール。
どんなトレーニングがその1ミリを作ったか論文になんてできない(今のところ・将来的に優秀な研究者が出してくれることを願いますが)、その1ミリで人生が変わることもある。

私みたいな凡人フィジオは、そんな1ミリを変えられるって自信持って言えない。
でも、選手としては…やれることは全部やりたい!

ネズミで有用性があるなら、僕も哺乳類だからという理由で(笑)、高いお金を払ってでもHBOTやってしまう。

やっぱり、ダメな患者ですね(笑)


長くなりましたが…やっぱり勉強って面白い📖

クリニックで診させていただく際は、ちゃんと“フィジオの頭”でやらせてもらうのでご安心を!

ちなみに、この試合のあとにハリケーン「Alfred」の影響でサッカー協会から活動休止命令が出て、2週間はジムセッションのみ。

うちも停電が1日あり、休業せざる得ない状況でしたが、他の地域では被害が出たりゴールドコーストのビーチがErosionしてり大変な場所もあるので自分たちの状況には感謝していきたいです。


怪我の方は延期のおかげで、なんとか2週後の試合には間に合い、強豪Roachdaleに3-2の逆転勝ち

連続出場、そしてチーム最年長出場記録42歳8日に更新できました。

…とは言え、その試合でも「スライディングで止められた」と思ったプレーが甘く、逆に自分の足に当たって方向が変わり失点。キーパーに申し訳なかった。

こんな場面が増えてきた今日この頃。
「もう長くはないな」と感じながらも、怪我人が戻るまで、精一杯頑張ろうと思います。

(さまざまな国で活躍するサッカー選手の羽竜くんと、ディフェンスの間合いの詰めかた、取り切る力はピカイチで勉強させてもらっていますので’1人のファンとして’もう最後かもしれないのでお願いしてとってもらいました。


最後まで読んでくださってありがとうございます😊