3月3日は長女の初節句でしたが、、、
男の子ばかりで、しかもオーストラリアで、すっかり何をすればいいのかわからない親です。
知り合いがお花を持ってきてくれて助かりました。
女の子の親はまだまだなれません。
可愛いですが、将来が今から心配。笑
今回は、Concussion (脳震盪)のマネジメントプロトコールが出たので、早速読んでみました。
いくつかは医療従事者、そして親御さんにも知っておいた方がよさそうな内容がありましたので訳してみました。
日本の国立スポーツ科学センターJISSのオーストラリア版であるこのAIS(Australia Institute Sports)から脳震盪についての最新のガイドラインが2月1日に報告されたのでご紹介します。
これは朝のテレビニュースでも触れられるくらい重要で、そして脳震盪に対して子供だけでなく親御さんも興味を持っているということが言えると思います。
(オーストラリアではラグビーとかオーストラリアフットボールが盛んで、ぶつかり合うのでその分リスクも高いですよね)
オーストラリアフットボールは日本では馴染みがないですが、
縦135〜185 メートル、横110〜155 メートルの大きなフィールドで
ラグビーとサッカーの混合みたいな(飛ぶ、スプリント、蹴る、タックル等)動きで
私は世界の中でも最もアスリート能力の高いスポーツだと思っています。

私の大好きなサッカーは、オーストラリアではラグビー、オーストラリアフットボール等に負けていて第5位の人気みたいです。
Most Popular Sports in Australia
今回、取り上げる論文を出しているAISはオーストラリアの首都キャンベラにあり、
私が卒業したキャンベラ大学のすぐ隣りにある施設で、たくさんのスポーツの研究がされています。
私のゼミの先生もその1人で、お世話になっていました。
CONCUSSION AND BRAIN HEALTH POSITION STATEMENT 2024
(この論文は無料で見れますが、英語で62ページありますので時間がある方は読んでみてください)
無料で見れるというのは、国が研究費を出して国民に有益な情報だからと言うことでした。
このような研究費の使い方はいいなあと個人的に思います。
では、この論文の詳細です。
2019年のオーストラリアのラグビーリーグの試合では
1000時間あたり15.4件の脳震盪
2019-2020年のAFLリーグで
1000時間あたり6.5件の脳震盪
女子ラグビーリーグでも
1000時間あたり5件
前回、ご紹介したサッカーの怪我全体のリスクが
1000時間のプレーで3.42件、
サッカーにおける怪我予防プログラム | ブリスベンのフィジオ Moto Mobile Physio
一番多い足首の怪我でも
1000時間あたり0.97件
ですので、いかにラグビーやAFLの脳震盪のリスクが高いのかがわかると思います。
スポーツに関して、脳震盪が多いのは上記の論文報告からもわかると思います。
また、その評価や対応の詳細は以下に簡単にまとめます。
その前にもう一つ、脳震盪で怖いのが子供の場合です。
私も3人の子供の親なので子供が脳震盪というのは本当に心配になると思います。

(娘には優しいお兄ちゃんたち)
10歳の時点で5人に1人の割合で脳震盪を経験していますが、
そのうちスポーツで起こるのは25%と報告されています。
オーストラリアでもサッカーで小学生のヘディングトレーニングはしなくなっていますが、
子供の脳震盪は遊んでいる時やそのほかの時間で起こるのが75%ということになります。
ですので親御さんにこの論文を少し知ってもらいたくて訳しています。
もう一つ
今でこそ私は今月13日で41歳になるおっさんですが、
オーストラリア4部相当のHolland Park Howksというクラブで今年もプレーさせてもらい、
健康で丈夫な体が売りですが
私自身、高校1年生の1月2日の紅白戦で頭から落ちて脳震盪になり
記憶が2週間分なくなり医療センターに運んでもらって何度かMRIを撮りました。
当時、元日本代表の玉田圭司選手を要する習志野高校はインターハイ3位、千葉県決勝ではインターハイ優勝した市立船橋高校を2-1で下して圧倒的な優勝候補でした。
でも選手権では一回戦で負けてしまったんですよね。(勝負の世界は怖い)
で、私は12月30日に負けてしまった試合を、
頭を打った直後から全く覚えていなかったみたいなんです。
心配になったコーチがすぐに病院搬送、私としては覚えてないのでよくわかりませんし、少し頭痛があるくらいだったと思いますが、
翌日も、その翌日も病院に行ったのを覚えています。

(カズに憧れたプーマのスパイク、パラメヒコの色が黒なのが時代ですね)

(選手権の予選もベスト8くらいまでは土でした)
では、脳震盪の時の対応についてです。
ファーストエイド(First Aids)の対応
脳震盪の疑いの場合
気道、呼吸、血流(顔色)等の確認時から頚部の損傷があると疑って対応する。
速やかにプレーを中止し、医療従事者に評価してもらう
もし疑いがあれば外へ ‘if in doubt, sit them out’
<プレーを中止し外へ出る。戻らない基準>
・意識障害 loss of consciousness
・5秒以上グランドで倒れて動かない lying motionless for >5 s
・着地動作なしにグランドへ打ち付けて倒れる no protective action was taken by the athlete in a fall to the ground, directly observed or on video
・てんかん様の姿勢 impact seizure or tonic posturing
・混乱症状 confusion, disorientation
・質問に答えられない inability to respond appropriately to questions
・記憶障害 memory impairment/amnesia
・バランス障害 balance disturbance or motor incoordination (e.g., ataxia)
・視点が合わない dazed, blank/vacant stare or not their normal selves
<レッドフラッグサイン(すぐに救急搬送)>
・頚部の痛み neck pain
・混乱の増加 increasing confusion, agitation, or irritability
・継続した嘔吐 repeated vomiting
・てんかん seizure or convulsion
・手や足の痺れや灼熱感、手足の筋力低下 weakness or tingling/burning in the arms or legs
・意識レベルの低下 deteriorating conscious state
・強い頭痛 severe or increasing headache
・視覚障害 loss of vision
・目に見えての頭蓋骨の陥凹 visible deformity of the skull
・意識や記憶のチェックの質問The modified Maddocks questions are:
どこのグラインドで今日は試合してる? What venue are we at today?
今は前半か後半か? Which half is it now?
誰が点を取ったか? Who scored last in this match?
先週はどこのチームと対戦したか? What team did you play last week/game?
この前の試合は勝った? Did your team win the last game?
<スポーツ復帰>
問題がなければAISは、軽いエクササイズを24-48時間の休息後から開始します。
運動強度を上げる間にチェック
14日以上の症状がないことが確認できたらトレーニング(脳震盪から14日ではなく症状がなくなってから14日)
21日以上で試合復帰
注意点(繰り返しの脳震盪):
12ヶ月以内に3回以上の脳震盪があったら次のシーズンは避ける
3ヶ月以内に2回目の脳梗塞があったら28日の症状なしでトレーニング、6週間以降から試合復帰
脳震盪のガイドラインは医療従事者はもちろん知っておくべきだと思いますが、子供の脳震盪の75%はスポーツ以外なんです。ということは、遊んでいる時や医療従事者がいないときに起こっているので、上に書かせてもらったようなことをわかっていれば対応も変わるのかなと思います。
全て覚える必要はないですが、ここに書いてあったなみたいに覚えておくといいと思います。
というわけで長々と読んでいただきありがとうございました。
試合をした後本当に身体が悲鳴を上げている今日この頃ですがシーズン始まったので頑張ります。